在留資格認定証明書(入管法第7条の2)
外国人が新規に日本に入国、在留しようとする時は、その者が日本において行おうとする活動は、入管法で定められた合計29種類に及ぶ「在留資格」のいずれかでなければなりません。現行入管法上、在留資格「短期滞在」を除くその余の在留資格については、当該外国人が日本に上陸しようとする前に本邦において行おうとする活動に係る上陸のための条件に適合しているか否かを認定して貰える制度があります。これを「入国事前審査制度」と言います。
この「入国事前審査制度」は、入国審査手続の簡易・迅速化を図ることを目的として制定されたものであり、入国・在留しようとする外国人本人又はその関係者が住居地を管轄する入管局宛てに「在留資格認定証明書交付申請」を行い、同入管局から「在留資格認定証明書」を交付して貰うことによって日本への入国が実現することになっております。それだけに、当該外国人及び関係者としては、何としてもこの在留資格認定証明書を交付して貰わなければなりません。同申請を行う者は、入管局宛に在留資格認定証明書交付申請書及び疎明資料を提出してその可否を仰ぎます。
一方、入管局における審査は、おおよそ以下のようなものです。
すなわち、提出された疎明・立証資料を基にして申請された在留活動の内容及び実態が基準省令に適合しているか否かを含め、当該在留資格への適合性・該当性を認否しつつ、行政先例・判例との整合性、上陸拒否事由該当の有無及び過去における在留歴・退去強制歴等を総合的、客観的に検討した上、最終的な認否が行われます。
その結果、これらの各基準・要件への適合性等が認められた者には在留資格認定証明書が発給され、そうでない者には不交付処分通知書が交付されます。これより、申請者は、念には念を入れて疎明・立証資料を取得、整備するとともに、申請内容が各基準・要件に適合していることを明らかにすることが重要です。
ご参考までに、各案件の処理に要する日数は、事案毎に異なりますが、申請が受理された日から起算して凡そ1~3ヶ月内とされております。こうして、入管局から在留資格認定証明書が交付された場合は、関係者等が国際郵便等を用いて同証明書を当該外国人宛てに送付します。同証明書を受領した当該外国人がその他の必要書類を添えて在外公館宛てに査証(ビザ)申請を行いますと、1週間ほどで査証が発給されますので、当該外国人は同査証の有効期間内に来日し、到着した空港等において上陸審査手続を経れば旅券上に上陸許可の証印が押印(シール)され、上陸することが出来ることとなっております。
在留期間更新許可申請(入管法第21条)
在留資格を有して在留している外国人は、原則として付与された在留期間に限って日本に在留することができることとなっておりますが、在留期間満了後も同じ活動を続ける必要が生じている場合に、入管局に「在留期間更新許可申請」を行うことができます。
原則、申請期間は6か月以上の在留期間を有する者にあっては在留期間の満了する3か月前からとなっています。
一方、入管局の審査においては、当該外国人が付与されている在留資格に係る活動を行っていたか、納税義務は履行されているか、在留状況は良好であるか等、在留を引き続き認めることが適当であると判断した場合に、法務大臣は在留期間の更新を許可することができるものとされております。
在留資格変更許可申請(入管法第20条)
在留資格を有して在留している外国人が在留目的を変更して別の在留資格に該当する活動を行おうとする場合に、当該外国人は新たな活動を開始する前に入管局に「在留資格変更許可申請」を行うことができます。この申請が許可されますと、当該外国人は新たに許可された在留資格に属する活動を行なうことが可能となります。各案件の処理に要する日数は、申請が受理された日から起算して凡そ1~3ヶ月内とされております。在留資格の変更を要する事情が生じた時点で早めに申請をする。
在留資格取得許可申請(入管法22条の2及び第22条の3)
出生や日本国籍の離脱その他の事由により入管法に定める上陸の手続を経ることなく日本に在留することとなる外国人が、その事由が生じた日から引き続き60日を超えて本邦に在留しようとする場合には、当該事由の生じた日から30日以内に「在留資格取得許可申請」を申請しなければなりません。審査の結果、許可となれば在留資格、在留期間が付与され、その在留期間内は続けて日本に在留を続けることが可能となります。一方、60日を超えて在留する予定がない場合は、当該申請は不要となります。
資格外活動許可申請
前示した「就労することが出来ない在留資格(=「非就労資格」)」を付与されている外国人が一定時間・範囲で就労するときは、入管局から許可を得れば、「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(就労活動)」を一定の時間・範囲で行うことが出来ます。例えば,留学生が飲食店等において行うアルバイトなどがその代表的なものです。
この申請が「資格外活動許可申請」と呼ばれるものです。当然のことですが、同許可は、本来の在留目的である活動(例:留学)の遂行を阻害しない範囲内で行われると認められるときに限り許可される(入管法第19条第2項)ことになっております。
因みに、2011年12月26日の省令改正により2012年7月9日からは,上陸審査時に在留資格「留学」(在留期間が「3月」の者及び再入国許可による入国者を除く。)を付与された者は,上陸許可申請手続に引き続き、その場で資格外活動許可の申請を行うことが可能となっております。
就労資格証明書交付申請
日本で就労することが認められている外国人が勤務先を退職して、転職した場合に、新たな会社での職務内容がその者に付与されている在留資格で行うことが出来るものであるか否かが明らかではありません。また、外国人を雇用している企業等において、その者の職務内容を変更したいときなども同様です。
外国人が日本で合法的に就労できる者であるか否かは、外国人が携帯する在留カードで確認することができますが、具体的にどのような活動が認められているかまでは判然としない場合もあります。そこで、雇用主等と外国人の双方の利便を図るため、外国人が希望する場合には、必要書類を揃えて、就労資格証明書交付申請を行うことができ、審査の結果、付与されている在留資格で行う活動であると認められた場合は、その者が行うことができる就労活動を具体的に示した就労資格証明書を交付され、雇用しようとする外国人がどのような就労活動を行うことができるのか容易に確認できるものとなります。外国人が転職した場合には、本申請を活用することを勧めております。審査期間は平均1~3カ月程度です。
永住許可申請
日本において長期間に亘り在住し、その間納税義務等を完遂する一方、犯歴もなく善良な在留活動を継続し、生活保護を受給するなどして日本政府・日本国民に被害・迷惑を及ぼしたことがないなど一定の要件・条件を満たすと者が「日本において永住したい」との意思を表明する申請です。
同申請が許可されれば、在留資格「永住者」が付与され、永続的に日本に在留することが可能となります。永住許可されれば、在留期間・在留活動の規制が無くなるばかりでなく、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請を行う必要が無くなるなど多くのの利点があります。
再入国許可申請(入管法第26条、26条の2)
日本に在留している外国人が何らかの用務のため一時的に日本から出国し,再び日本に再入国しようとする場合に付与される許可のことで、以下の通り、二つに分別されます。
その一つは、出国前に当該外国人の住居地を管轄する地方入管局等において再入国許可申請を行い、「再入国許可」を得て出国する方法です。この方法を採らなければならない外国人は、1年を超えて日本国外に留まることが想定されている者で、再入国許可の有効期限までに日本へ再入国すれば、現に有する在留資格及び在留期間を保持したまま再入国し、そのまま在留を継続することができます。 仮に、「再入国許可」を受けないで出国後、何らかの事由で国外に1年を超えて滞在した後に再入国した場合は、たとえ在留期間が残っていたとしても同在留資格・在留期間は出国時に遡って取り消されることになっておりますので、同在留資格・在留期間のまま再入国することは出来ません。
もう一つは、出国前に再入国許可を得ないで出国し、再入国する方法(「みなし再入国許可」と言う。)です。政府は、省令改正後の2012年7月9日以降,中長期在留者が有効な旅券及び在留カードを所持して出国後1年以内に再入国する場合,或いは「特別永住者」が有効な旅券及び特別永住者証明書を所持して出国後2年以内に再入国する場合は、出国時の出入国カードにその旨のマークをすれば、原則として再入国の許可を受ける必要はないとの取扱いを行っております
仮放免許可申請
仮放免許可は、退去強制手続を執行されている間又は退去強制令書が発布された後において当該外国人又はその関係者から地方入管局長(又は入国者収容所長)宛てに仮放免許可申請書及び必要書類を提出して行うものです。地方入管局等においては、同申請書が提出されると、その要否を判断し、許否を決定します。
前述したように、退去強制手続は、「原則として」退去強制該当容疑者である当該外国人の身柄を収容場等に収容して執行されますところ、容疑者の中には重大な疾病等を抱えている者や人道的観点から収容することが困難な事情(例:母子家庭で児童の監護・養育をせざるを得ない状態等)にある者が存在します。入管局長等は、そうした事情を抱えている者については、一定の条件を付して一時的にその者の収容を停止することとしています。
他方、既に退去強制令書が発布されて入国者収容所に収容されている被退去強制該当者についても、真にやむを得ない事情(例:罹病等)が生じた場合は、特例的に仮放免許可を行う場合があります。
難民認定申請
日本において、難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)及び難民の地位に関する議定書(以下「議定書」という。)に加入し,1982年より、発効したことに伴い,難民条約及び議定書の諸規定を国内で実施するため,難民認定制度が整備されました。
この制度では,難民である外国人は,難民認定申請を行い,法務大臣から難民であるとの認定を受けることができ,また,難民条約に規定する難民としての保護を受けることができます。但し、本制度でいう「難民」とは,難民条約第1条又は議定書第1条の規定により定義される難民を意味し、それは人種,宗教,国籍,特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者とされています。拠って、それらのいずれにも該当しない理由では、本制度上の難民とは認められないこととなります。本制度上の難民の定義、取扱については、多くの方が誤解又は曲解しておられる実情にあります。
なお、難民認定手続については、外国人がこの難民の地位に該当するかどうかを審査し決定する手続です。難民の認定を受けた外国人は,次のような権利又は利益を受けることができるものとされています。 1.永住許可要件の一部緩和 日本に在留する外国人が永住許可を受けるためには,
(1) 素行が善良であること
(2) 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
の2つの要件を満たさなければならないこととされています。
しかし,難民の認定を受けて在留する外国人は,このうち(2)の要件を満たさない場合であっても,法務大臣の裁量により永住許可を受けることができます。 2.難民旅行証明書の交付 難民の認定を受けた外国人が外国に旅行しようとするときは,難民旅行証明書の交付を受けることができ,難民旅行証明書を所持する外国人は,その証明書に記載されている有効期間内であれば,何度でも日本から出国し,日本に入国することができます。 3.難民条約に定める各種の権利 難民の認定を受けた外国人は,原則として締約国の国民あるいは一般外国人と同じように待遇され,日本においては国民年金,児童扶養手当,福祉手当などの受給資格が得られることとなっており,日本国民と同じ待遇を受けることができます。
在留特別許可申請
不法入国、不法残留等の退去強制事由に該当する外国人において、何らかの特別な事情により、日本での在留を希望する場合は、自ら違反を申告して、退去強制手続を受ける中で、入管法第50条に基づき、同手続の過程において「退去強制されることなく、引き続き合法的に在留することが出来るための許可(在留特別許可)」を法務大臣に求める申請を行うことが出来ます。もっとも、93パーセント以上の者は必然的に強制送還されますが、数パーセントの者は、その者が具備している事情を特別に考慮され、法務大臣から在留特別許可を付与されております。同許可が付与された場合は、正規在留している中長期滞在者と同様、地方入管局長から「在留カード」が交付され、合法的に在留することが可能です。
許可事例としては、日本人と結婚生活を送っている、日本人との間に子供ができた、永住者の未成年の子として親の扶養を受けていた、日本で生まれて約17年が経過していた、内縁の夫からのDVが原因で止む無く不法残留していた、日本国籍を有する実子を監護・養育している、本国において治療困難な病気にり患しているもの等があります。
在留特別許可は、法務大臣の裁量によって極めて限定的、かつ、慎重に決定される許可ですから、要件等についての疎明・立証資料は入念、かつ、丁寧に収集、整備し、申告書等の立案、作成に当たっては事実関係を基にして同許可を得るに当たって相当である、との視点から構成することとなります。
同手続は、入国警備官による違反調査業務に始まり、入国審査官による違反審査業務、特別審理官による口頭審理(違反審判)の各業務を経由して最終的には法務大臣による裁決処分に至るという膨大なものであります。事案内容の軽重を問わず、重厚な手続が執られておりますので、そのことを充分に理解された上で同手続を行う必要があります。
中には、疎明、立証が不十分であったり、同手続きの重厚な審査が執られることを理解されずにご自分で同手続を行って、数年経過しても入管局から連絡がなく、困惑して当所に相談に来られる方もおりますがおおよそ、それらの方は、在留特別許可を付与しないとされる案件となります。これらの案件は、当法人にご相談していただければ充分に在留特別許可が付与されたであろうと思われる案件であっただけに遺憾というほかありません。