帰化とは、外国人が日本国籍の取得を希望し、法務大臣に対して帰化許可申請を行い、許可を受けることによって日本国籍を取得し、日本人となる制度です。

帰化の一般的な要件として、国籍法では主に以下の6つの要件が定められています。ただし、申請者の身分関係、在留状況、日本人との関係などによって、適用される要件が異なる場合があります。

また、これらの要件をすべて満たしている場合でも、必ず帰化が許可されるわけではありません。国籍法に定められている要件は、日本への帰化が許可されるための最低限の条件であり、実際の審査では申請者の状況を踏まえて総合的に判断されます。

1.住所条件(国籍法第5条第1項第1号)

帰化申請をするためには、原則として、申請時まで引き続き10年以上日本に住所を有していることが必要です。なお、この住所は、実際の居住実態を伴う適法なものでなければなりません。
また、この10年間に海外への出国期間が長期間に及んでいる場合や、出国期間が通算して長期間となっている場合には、日本に生活の本拠が継続してあったとは認められず、「引き続き10年以上日本に住所を有する」という要件を満たさないと判断されることがあります。

2.能力条件(国籍法第5条第1項第2号)

年齢が18歳以上(注)であって、かつ、本国の法律によっても成人の年齢に達していることが必要です。
(注)年齢については、従来は「20歳以上」とされておりましたが、令和4年(2022年)4月1日からは「18歳以上」と改正されました。

3.素行条件(国籍法第5条第1項第3号)

素行が善良であることが必要です。

素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無やその内容、納税状況、社会に迷惑をかける行為の有無などを総合的に考慮し、通常人を基準として、社会通念に照らして判断されます。

4.生計条件(国籍法第5条第1項第4号)

生活に困窮することなく、日本で安定かつ継続して生活していくことができる生計基盤を有していることが必要です。

この要件は、申請人個人だけではなく、生計を一つにする親族単位で判断されます。そのため、申請人自身に収入がない場合でも、配偶者やその他の親族の収入、資産または技能などによって安定した生活を送ることができれば、この要件を満たすものと判断されます。

また、会社経営者の場合には、本人や世帯の収入だけでなく、会社の決算内容や事業の継続性など、経営状況の安定性についても審査の対象となります。

5.重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号)

帰化しようとする方は、無国籍であるか、原則として、帰化によってそれまで有していた外国の国籍を喪失することが必要です。
ただし、本人の意思によってその外国の国籍を喪失することができない場合には、例外として、この要件を満たしていなくても帰化が許可されることがあります。

6.憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号)

日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、もしくは主張した者、またはこれを企て、もしくは主張する政党その他の団体を結成し、もしくはこれに加入したことがある者は、帰化が許可されません。

なお、日本と特別な関係を有する外国人、例えば、日本で生まれた方、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本国籍を有していた方などについては、一定の要件を満たす場合、上記の帰化要件の一部が緩和されています。

日本語力

上記の要件に加えて、一定程度の日本語能力を有していることも必要です。具体的には、日本での日常生活に特段の支障がない程度の日本語能力(会話・読み書き)が求められます。
一般的には、小学校3〜4年生程度の日本語能力が一つの目安とされており、日本語能力試験(JLPT)ではN3~N4相当が目安となります。
また、申請人の日本語能力を確認するため、担当官の判断により、面談時などに日本語のテストが実施される場合があります。当事務所では、日本語テストの練習問題もご案内しております。

違反歴がある場合

素行要件の審査では、交通違反歴についても確認が行われます。そのため、運転免許を有する方については、原則として「過去5年分の運転記録証明書」の提出が求められます。
交通違反を繰り返している場合や、重大な交通違反がある場合には、遵法意識に問題があると判断され、帰化申請が不許可となる可能性があります。
また、交通違反に限らず、何らかの犯罪歴や法令違反歴がある場合には、その内容、回数、処分の程度、違反からの経過期間などが審査に影響することがあります。
そのため、犯罪歴や法令違反歴がある方については、申請の可否だけでなく、帰化申請を行う時期についても十分に検討することが重要です

審査期間

現在、申請が混雑しており、申請受付相談の予約が可能な日まで法務局によっては数カ月先の場合もあり、申請してから、法務局での担当官との面接まで平均3~6カ月、面接から結果通知まで、平均6~8カ月となりますので、概ね1年前後を要しております。
※申請者の在留状況や日本への貢献度などによって、審査期間は異なることがあります。

必要となる資料

帰化許可申請に必要となる主な書類は,次のとおりです。

  1. 帰化許可申請書(申請者の写真が必要。)
  2. 親族の概要を記載した書類
  3. 帰化の動機書
  4. 履歴書
  5. 最終学歴の卒業証書
  6. 現職に必要な技能資格が有る場合は、その資格証
  7. 生計の概要を記載した書類
  8. 在勤及び給与証明書
  9. 源泉徴収票
  10. 事業の概要を記載した書類
  11. 許認可証明書(個人事業経営者の方)、確定申告書
  12. 会社等法人の登記事項証明書、許認可証明書、決算書(会社等法人の役員の方)
  13. 住民票の写し
  14. 自動車運転免許証
  15. 運転記録証明書(5年間)
  16. 預貯金通帳の写し
  17. 国籍を証明する書類
  18. 親族関係を証明する書類
  19. 納税を証明する書類
  20. 児童手当・育休手当等の受給を証明する書面
  21. 国外居住親族への送金関係書類
  22. 資産証明(不動産謄本等)

必要となる資料は膨大で、申請者及び両親、兄弟姉妹の身分関係の資料や生計、事業概要、納税、年金、過去3年間の住居地、過去3年間の勤務先等々に係る資料が必要となります。外国の文書は和訳の添付が必要となります。

法務局での面接

帰化申請の受付後、一般的には3~6カ月程度で申請者本人に法務局から連絡があり、面接の日程が案内されます。
申請者に配偶者や子がいる場合には、原則として、配偶者や15歳以上の子についても面接が行われることがあります。

面接で確認される内容は申請者の状況によって異なりますが、一般的には、家族構成、両親・兄弟姉妹との関係、仕事内容、収入・借入れ・家計の状況、配偶者と知り合った経緯、前配偶者との離婚の経緯、同居人との関係、婚約者がいる場合の結婚予定、犯罪・法令違反歴、海外渡航の目的や期間、日本国籍を取得したい理由などについて質問されます。

面接では、単に質問に回答するだけではなく、申請時に申告した内容や提出した書類との整合性についても確認されます。そのため、申請時に提出した書類の内容を十分に把握したうえで、面接に臨むことが重要です。
面接時間は申請内容や個別の事情によって異なりますが、概ね1時間前後が一つの目安となります。

法務局の実態調査

面接後、必要に応じて、法務局の職員が申請者の自宅、勤務先、通学先、その他の関係先などについて実態調査を行うことがあります。
例えば、自宅を訪問して実際の居住状況や同居人の有無を確認したり、勤務先に連絡して在職状況を確認したりする場合があります。また、必要に応じて、近隣住民への聞き取り、親族の居住状況の確認、会社経営者や役員の場合には取引先への照会などが行われることもあります。

これらの調査は、帰化申請時に申告した内容や提出書類と実際の生活・勤務状況に相違がないか、また、素行上の問題がないかなどを確認することを目的として行われます。
実態調査については、申請者に事前に連絡したうえで行われる場合もあれば、事前の連絡なく調査が行われる場合もあります。

帰化の許可通知

帰化が許可されると、その旨が**官報に告示され、法務局から申請者本人に連絡があります。**帰化の効力は、官報に告示された日から生じます。法務局からの連絡後、指定された必要書類を持参して法務局へ出向き、**「帰化者の身分証明書」**の交付を受けます。
その後、申請者の住所地を管轄する市区町村役場において、帰化届の提出など、日本国籍取得後に必要となる各種手続を行います。
また、これまで所持していた在留カードまたは特別永住者証明書についても、所定の方法により返納する必要があります。帰化許可後は、これらの手続を所定の期限内に適切に行うことが重要です。

官報とは

法令・条約・予算・告示・国会事項・人事・叙任などを,国が一般国民に知らせるために独立行政法人国立印刷局から発行する日刊機関紙となります。官報には、本国の氏名、生年月日、日本の住所が掲載されます。

帰化申請の手続手順

お客様

当所へ相談いただく。相談者の経歴、家族構成、在留状況等を伺います。

STEP
1

当所

当所で日本国籍を取得できる可能性が有るか否かを判断。

STEP
2

お客様

取得できる可能性がある場合に当所へ帰化申請の書類作成等を委任していただきます。

STEP
3

当所

当所が申請者の事情に適した必要書類リストを作成。

STEP
4

お客様

申請者は必要書類を収集して、当所へ提出いただく。

STEP
5

当所

当所が書類作成を行う。

STEP
6

当所

当所が法務局へ帰化申請の予約を行う。

STEP
7

お客様

法務局へ申請者とその家族(配偶者と15歳以上の子)と担当行政書士が出向いて帰化申請を行う。最低限、必要となる書類が揃っていると申請は受理されます。

STEP
8

お客様

法務局より、追加資料の提出が必要となった場合は、その旨の連絡がありますので準備して提出します。

STEP
9

お客様

法務局より電話で申請者へ面接日の案内連絡がきます。

STEP
10

お客様

申請者は法務局へ出向いて面接を行う。(申請者に配偶者、子(15歳以上)がいる場合はその配偶者、子も面接)

STEP
11

お客様

法務局の判断により、適宜、実態調査が行われる。

STEP
12

お客様

帰化申請の審査の結果、許可となった場合は、官報に帰化した者の氏名、生年月日、住所が公示される

STEP
13

お客様

法務局より申請者へ審査結果を通知。許可の場合は、電話連絡があります。一方、不許可の場合は不許可とした通知書が自宅に送付されます。不許可とした具体的な理由は開示していないため、不許可となり得る要素を吟味して、再申請を検討します。

STEP
14

お客様

審査結果が許可の場合は、申請人は法務局へ指定された日時に出向いて「帰化者の身分証明書」を受け取る

STEP
15

帰化許可後の必要な手続

  • 「帰化者の身分証明書」を法務局で受け取った日から14日以内に「在留カード」または「特別永住証明書」の返納(返納は役所窓口又は出入国在留管理局おだいば分室へ郵送することができます)
  • 「帰化者の身分証明書」を法務局で受け取った日から1か月以内に住居地の役所へ「帰化者の身分証明書」「印鑑」「身分証明書」をもって、「帰化届」の提出を行う。
  • 帰化前の国籍の大使館等で国籍離脱の手続を行う。

帰化許可後に変更できる手続(必要に応じて変更が可能なものです)

  • 運転免許証などの身分証明書の氏名等の変更手続
  • 国家資格合格証や証明書の氏名等の変更手続
  • 日本のパスポートの作成
  • 社会保険、銀行口座、クレジットカード、賃貸契約書、水道光熱、会社謄本、不動産登記の氏名等の変更等

国籍の選択について

日本では二重国籍を認めていないことから、帰化が許可された時点においては、外国の国籍と日本の国籍を有する人(2重国籍者)となりますので、帰化が許可された日から2年以内にいずれかの国籍を選択するための手続きをしなければなりません。もし、帰化の許可された日において、20歳未満の方は22歳に達するまでに手続きをすればよいものとなっております。期間内に国籍の選択がなされ場合は、日本の国籍を失うことがありますので注意して下さい。

なお、国によっては、帰化申請前に外国の国籍を離脱することが必要となっている国もあります。例えば中国、ロシア、ベトナム等がそうです。また、韓国においては帰化許可となった場合に自動的に国籍喪失として取扱われていますが、帰化許可後に韓国側に届け出の提出は必要となっております。

国籍選択の手続方法は以下のいずれかになります。

日本国籍を選択する場合

  1. 外国の国籍を離脱する方法
    当該外国の法令により、その国の国籍を離脱した場合は、離脱を証明する書面を添付して在外公館(大使館又は領事館)で外国国籍喪失届を提出します。
  2. 日本の国籍の選択を宣言する方法
    戸籍謄本を添付して日本の市区町村役場に「日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄する」旨の国籍選択届を提出します。本人が海外に居住している場合は、日本大使館で手続きを行います。

帰化許可後に変更できる手続(必要に応じて変更が可能なものです)

  1. 日本の国籍を離脱する方法
    住所地を管轄する日本の法務局・地方法務局に戸籍謄本、住所を証明する書面、外国国籍を有することを証する書面を添付して、国籍離脱届を提出します。
    なお、この届は日本国籍を離脱する本人(15歳未満である場合は、法定代理人)が自ら法務局・地方法務局に出向く必要があります。本人が海外に居住している場合は、日本大使館で手続きを行います。
  2. 外国の国籍を選択する方法
    当該外国の法令により、その国の国籍を選択した場合は、外国国籍を選択したことを証明する書面を添付して、日本の市区町村役場に国籍喪失届を提出します。本人が海外に居住している場合は、日本大使館で手続きを行います。