行政書士の選び方(重要)
入管当局から承認された法律職、中でも行政書士の大半は誠実にして善良に業務を行っております。ところが、一部の行政書士は、入管法令等に通暁しないまま生半可な知識で業務を請け負っている者が存在します。その最たる要因は、行政書士の研修内容及び試験制度が要因になっているものと思われます。不幸にして、これらの行政書士に業務を委託されると、依頼した案件は適正かつ専門的に処理されないため、本来許可されるべき事案が不許可処分に付され、ただいたずらに必要経費だけを徴収されるという事態が多数、生じております。また、中には、入管業務に全く門外漢であるにも拘わらず、ただ金銭のみを目当てとして業務を請け負う悪徳な行政書士も存在しています。
当所が相談を受けた被害事例は多く、その一例をご紹介しますと、外国人が自分で申請を行った結果、不許可となったことから、ある行政書士に再申請を依頼して数十万円の費用を支払った後、1年経過しても申請がされず、最終的に連絡も取れなくなった。その後、別の行政書士5名に相談したところ、その全ての行政書士から、あなたのケースは申請しても許可にならないと言われ、当所に相談越された。当所が事情を聞いて関連資料を精査したところ、容易に許可を得ることが可能な事案であった。当所が業務委任を受けて、申請に至り、難なく許可を得た。というものもあります。当所においてもこれまでの間、これら悪徳行政書士による蛮行によって悲惨な経験をされた方が何人も相談越されておりますので、依頼するに当たっては注意が必要です。
一方、「許可さえ得られれば良い」というのは考えものです。通例、当所においては、如何なる案件についても諸資料を基にして必ず「申請理由書」を立案、作成します。同理由書の中には、全ての事実関係を正確に記述し、将来における各種申請に備えたものとなっております。ところが、一部の行政書士事務所においては、「許可を取得さえすれば良い」との短絡的な観点から、極めて杜撰極まりない書面等を作成し、提出することも決して珍しくはありません。
その結果として、許可は得たものの、その後における在留期間更新許可申請や永住許可申請に多大な悪影響を及ぼす事例も珍しくはありません。すなわち、事後の在留期間更新許可申請や永住許可申請において、先の許可処分における提出書類・記載内容との齟齬が発覚したことにより結果として不許可処分に付されたという事案も生じております。
ご参考までながら、日本の少子高齢化が今後益々進展する中で、外国から有用な人材を確保する傾向は一段と増加すると思われます。そうした事態を想定しますと、欧米諸国同様、入管法専門の士業(=Immigration Lawyer)を求める声は必然的に高まって来るものと思われます。現行制度上、入管法令等に通暁した士業(=Immigration Lawyer)の存在は必要不可欠であり、これを見極めることは肝要であろうかと思います。