就労資格

日本で働くことが出来る在留資格全般のことを通称、就労ビザと称し、外国人が日本で働くことを目的として入国、在留するためには、就労(働く)することが容認されている在留資格を取得する必要があります。在留資格によっては、学歴、職歴、技能試験の基準が定められているものもありますので、先ずは外国人が日本において行おうとする活動に該当する在留資格が存在するのか否かを確認され、次いで同在留資格に規定された認定基準が如何なるものであるかを確認した上、自らがその基準に適合すると思料したときは、必要となる疎明・立証資料を整備することになります。在留資格一覧の中の「就労資格」「就労可」又は「居住資格」と記載があるものが働くことが出来る在留資格となります。

申請者となる外国人が海外に居住している場合は、日本に在住する申請代理人が勤務予定先の住所地を管轄する入管局へ「在留資格認定証明書交付申請」を行うこととなります。当然のことながら、同申請の際には働くことを目的とした在留資格であることを疎明するための資料(例:労働条件等が記載された雇用契約書)が必須となっております。

以下に、在留資格毎の典型的な事例を紹介します。

(1)在留資格「技術・人文知識・国際業務」 ⇒ 貿易会社において通訳・翻訳業務に従事

◆主な基準

①従事する業務(従事しようとする業務については、次のいずれにも該当していること。)

  • 翻訳、通訳、語学の指導、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発そのたこれらに類似する業務に従事すること。
  • 従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳、語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。

②報酬

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

(2)在留資格「技術・人文知識・国際業務」 ⇒ システム開発会社でエンジニア職に従事

◆主な基準

①従事する業務(従事しようとする業務については、次のいずれかに該当し、かつ、これに必要な技術又は知識を習得していること。)

  • 当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
  • 当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し、法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。
  • 10年以上の実務経験(上記の大学等において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。

②報酬

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

(3)在留資格「経営・管理」 ⇒ 企業等の経営業務に従事

◆主な基準

①事業所等の存在

事業を営むための事業所が本邦に存在すること。仮に、同事業が未だ開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。

②事業規模

  • その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤職員(法別表第一に規定する在留資格を有する者は除く。) が従事して営まれるものであること。
  • 資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
  • 上記の「(イ)」又は「(ロ)」に準ずる規模であると認められるものであること。

(4)在留資格「特定技能1号」 ⇒ 飲食店の接客業務に従事

◆主な基準

①能力

  • 特定技能測定試験
    農水省所管の「一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(略称:OTAFF)の実施する試験
  • 日本語能力検定試験
    N4(4級)以上
  • 上記の「(イ)」又は「(ロ)」に準ずる規模であると認められるものであること。

②雇用する企業の管理体制

雇用する外国人に対する支援計画が適正に行われる管理体制にあること。

上記に掲載した事例以外にも実に多くの事例が存在しておりますところ、これらの外国人を日本へ招聘して入国・在留して貰う手続・手順は、おおよそ以下のとおりです。

  1. 日本において行おうとする在留活動は、現行法上の在留資格に該当しているか否かを確認する。
  2. 在留活動に適合すると思われる在留資格が存在する場合は、当該在留資格の認定基準を確認する。
  3. 当該外国人が認定基準に適合していると見込まれる場合は、同基準に適合する範囲の仕事を探して就職先を確定する。
  4. 就職先(雇用企業等)が確定した後は、在留資格認定証明書交付申請手続を当所に委任する。
  5. 委任された当所は、当該外国人の経歴及び担当予定の職務内容、就職先となる企業等の経営状況などを総合的、客観的に検討し、在留資格認定証明書交付申請手続に着手する。
  6. 当所は、申請人が就職を予定している企業の所在地を管轄する入管局宛てに在留資格認定証明書交付申請を行う。
  7. 入管局から在留資格認定証明書が交付されれば、雇用主等の関係者は同証明書を当該外国人宛てに国際郵便を用いて送付する。
  8. 同証明書を受領した当該外国人は、パスポート、在留資格認定証明書及びその他の必要書類を在外公館(日本大使館・領事館)宛てに提出し、査証申請を行う。
  9. 同公館から適正査証が発給されれば、渡日し、日本の空港等において上陸審査を受ける。
  10. 入国審査官から旅券上に上陸許可証印が押印(シール)されれば、上陸日から14日以内に住居地を定め、市区町村長宛てに住民登録を行う。