外国人が日本人と結婚(婚姻登録手続)して、日本で同居生活を送ることを希望する際の手続について概説いたします。

1. 日本人との結婚(婚姻登録手続)

外国人が日本人と結婚する場合は、先ずそれぞれの本国法上における婚姻要件を確認する必要があります。婚姻するための要件は、各国の国内法に準拠しており、国・政府毎に異なりが見られますので、先ずはこれらの要件を明確に確認しなければなりません。その上で、自国の法令上、婚姻することが可能であれば、これを証明した自国政府発給の婚姻要件具備証明書等を添えて婚姻登録手続を行うこととなります。

婚姻登録手続はいずれの国・政府機関から行っても構いませんが、国・政府毎に提出資料等が異なっておりますので、それらの必要書類を周到に取得、整備した上で婚姻登録手続きを行います。

日本の市区町村役場及び外国人の本国に所在する婚姻登録事務所(又は在京大使館等)において婚姻登録手続を了しますと、法的に婚姻が成立し夫婦となります。

2. 婚姻成立後の入管法上の申請(日本人の配偶者等)

婚姻成立後、日本で夫婦として同居生活を送るために入管法上の必要な申請は、外国人が国外にいる場合は「在留資格認定証明書交付申請」、日本国内にいる場合は「在留資格変更許可申請」となります。申請の結果、入管局から付与される在留資格は「日本人の配偶者等」となります。審査期間は平均1~3カ月程度を要しています。

特に審査上、入管局が留意している点は、偽装婚により入国、在留している外国人が相当数に上っていることから、申請の際の提出資料及び場合によっては実体調査を行って客観的な事実認定を行い、合理的かつ社会通念に照らしても妥当な判断となるように行なうこととしています。

また、在留期間の更新時の審査においては、社会通念上、夫婦の同居、協力、扶助を中核とする婚姻関係が実体を失い、形骸化しているか否かの判断においては一層、留意して行われています。

その背景の一因として不許可処分を付した場合に行政訴訟も急増していることからもなおのこと注力している実情にあります。

主な審査範囲としては次のようなものがあります。

当人らの出会った経緯、紹介者の有無、コミュニケーション言語力、婚姻までの交際過程、過去の婚姻歴、過去の出入国歴、過去の申請経歴、国内外の犯罪歴、日本人の生計・法的義務の懈怠の有無等、広範に審査が行われております。

特に留意される事例としては、交際期間が短い、交際していたことを証する資料がない、年齢差が大きい、日本人が生活保護を受給している、日本人が所得が低く、納税も懈怠している、日本人が外国人との再婚を繰り返している、過去に偽装婚に関わっていた結婚紹介所を通じて知り合っている等などです。

申請に至る際には、申請人らの事情を仔細に整理して、積極的な疎明・立証資料の提出が肝要となります。