入管局への各種申請の結果が不交付、不許可に付されてしまった場合と在外公館(日本大使館等)への査証申請が拒否されてしまった場合の対処法と再申請の可否・留意点等について概説いたします。

入管局での申請の結果、不交付、不許可に付されてしまった場合

「在留資格認定証明書交付申請」が不交付となった場合
入管局における在留資格認定証明書交付申請が不交付処分に付された場合は、必ず入管局から「不交付とする」旨の「通知書」が日本の申請代理人の住居地に送付されて参ります。同通知書には、「不交付とした理由」が記載されておりますが、通例、同記載ぶりは入管法の条文の内容を記載したに止まるもので、詳細な理由は記載されておりません。
そこで、同通知書と身分証明書を持参して入管局を訪ねて、それらを提示すると入管局の職員から具体的な理由の説明を受けることが出来ます。不交付とされた処分理由の説明を受ける際には、適正に審査が行われた処分理由であるか、恣意的な処分理由になっていないか、不利益処分に付した根拠法令は何としているか、再申請のことも見据えて、詳細かつ漏れがないように確認することが重要となりますが、ご自身で理由を確認した場合は、その点が充分でないことがあり、再申請を行うに当たっての的確な判断が出来ないことがあります。以上から不交付通知書を受け取ったら行政書士に相談されることをお勧めします。

「更新・変更申請」が不許可とされた場合
入管局における在留期間更新許可申請、在留資格変更許可申請に対して、入管局が審査が終了すると、「審査が完了した」旨の「通知書」を申請者の日本の住居地に送付します。同通知書に審査の結果については記載をしておりませんが、通常、許可としている場合は、指定した日までに結果を受け取りに来局するようにとの説明が記載されており、一方、指定した日時に来局するようにと記載されている場合は、不許可とされている場合になります。

日時の指定がある場合に、指定された日時に同通知書、パスポート、在留カードを持参して、入管局を訪問して受付をして順番が呼ばれると個室に誘導されて、そこで初めて、審査の結果が不許可であることが告げられます。その場で不許可とした書面も渡されて、更に職員から不許可とした具体的な理由についての説明がなされます。入管局としては審査が終了して結果を通知する段階となりますので仮に不許可理由に対して不服があったとしてもその場で審査をやり直して審査結果が変わることは原則ありません。

また、事案によっては入管局での審査中にすでに付与されていた在留期間が超過している場合もあります。その場合はその場で不許可処分とした書面にサインをさせた後、在留資格変更許可申請書に記入をさせて、出国をするための準備の期間として在留資格と短い在留期間を付与する取扱いがなされています。在留資格は特定活動が付与され「出国準備期間」として通常、31日又は30日の在留期間が付与されます。31日が付与された場合は、不許可とされた理由に対して、撤回し得るだけの疎明・立証資料を万全に備えることが出来れば再申請を行うことが出来ますが、30日が付与された場合は、必ず、帰国することを前提としているため再申請を行っても許可される可能性はほとんど無いものとなります。
一方、当該外国人が仮に出国準備期間として付与されることとなる在留資格「特定活動」への変更を拒否した場合は、「不法残留事案」として警備部門宛てに通報され、その場で入国警備官に身柄を収捕された上、「不法残留該当容疑者」として立件された後、退去強制手続が執行されることになっております。

再申請を行う場合の留意点

再申請を希望する場合に、在留資格認定証明書交付申請であっても、更新又は変更申請であっても、先ずは不交付又は不許可とされた入管局の具体的な理由を詳細に把握することが重要です。中には、ご自身で入管から不交付・不許可とされた理由を簡単に聞いてから当法人に相談に来られる方もおりますが、詳細な理由が分からないことから再申請に当たっての準備をするための的確な判断ができないことがあります。入管局においては一つでも不許可とする理由があれば、不許可処分にすることが可能であり、不許可とした具体的な理由については、簡潔に説明されることもよくありますので、申請人側においては、その説明を受けた際に、入管の同処分が適正なものであるかを判断し、なおかつ、再申請を踏まえて必要となるであろう点などを含めて、質問をしたりと再申請に備えることが重要となります。
加えて、留意する点としては、不許可とされた理由に対して、撤回し得るだけの疎明・立証資料を万全に備えて再申請を行った場合であっても、今度は別の理由で不許可とされることも珍しくありませんので、再申請を行うに当たっては、申請案件の全体を精査することが不可欠であります。
当法人においては、申請時に提出された申請書類等の中身全体を検分、把握してから、入管へ往訪し、入管が不交付・不許可処分とした理由を確認し、同処分自体の適法性を判断した上で必要な点について明確にして再申請を行います。

因みに、不許可処分案件の中には、いわゆる虚偽申請や付与された在留資格に基づく活動を特別な事情もなく一定期間継続して行っていなかったというような事案もありますが、悪質な事案であったり、在留状況が不良であったりというような事案は、再申請を行おうとすると入管局から強く帰国を促されます。仮に強引に再申請を行ったとしても即日、不許可処分に付されてしまい、これらの好ましくない履歴が追加記録されることとなります。

・「在留資格認定証明書交付申請」の再申請を希望する場合
不交付とされた理由に対して、撤回し得るだけの疎明・立証資料を追完し得ることが可能な場合は速やかに申請書類を整備して再度、申請を行うことが出来ます。申請回数や申請時期に制限はありませんので、すぐにでも再申請は可能です。

・「更新・変更申請」の再申請を希望する場合
前述の「出国準備期間」として「特定活動」が付与されました後、その在留期間内に不許可とされた理由に対して、撤回し得るだけの疎明・立証資料を追完し得ることが可能な場合は、入管局に対してその旨の事情を説明しつつ、再申請の受理の可否について伺いを立てます。その結果、入管から「再申請の受理は可能である」旨の回答が得られれば、速やかに申請書類を整備して提出し、同申請が受理された後は改めて申請結果を待つこととなります。

以上、申請が不交付、不許可処分とされてしまった場合は、速やかに当法人にご相談いただければ提出資料等を精査して、不許可理由の確認、再申請の可否を検討して最善の方策でお手伝いをいたします。前示の「通知書」が届いた時点で当法人にご相談ください。

再申請からの許可事例

以下、当法人で取り扱った許可事例です。

在留資格「家族滞在」から「技術・人文知識国際業務」への変更

在留資格「家族滞在」からフルタイムの仕事に就職するため、行政書士に依頼したところ、業務対応が悪く、一年以上もかかって、在留資格「技術・人文知識国際業務」への変更申請を行ったが、同行政書士が作成した雇用理由書において、勤務予定先の担当業務の中に在留資格「技術・人文知識国際業務」では行うことが認められていない単純作業的な業務が常態的にあるとされているので不許可となった。その後、5人の行政書士に相談をするも、その全ての行政書士から許可を得ることは出来ないとの回答がなされて、当所に相談越された。

当所において、全ての申請書類等を検分したところ、入管が不許可とした理由以外にも在留資格「技術・人文知識国際業務」の許可基準を満たしていない諸点もあったため、勤務予定先の会社社長と外国人自身に入管法令に基づく指導をして、各種資料を揃えて、再申請に至って、許可処分を得た。

CASE
1

在留資格「技能」更新申請(勤務先の変更あり)

在留資格「技能」により、インド料理店のコックとして勤務するも、配属店が変わっった後、転職をしたので、行政書士に依頼して在留期間更新許可申請を行ったが、行政書士が作成した退職証明書、転職先の従業員名簿等の私の入社日、配属転換日、退社日等について他の書類と比して、齟齬があった。なおかつ、同社において、タイムカードもなく、法定賃金台帳も備えていなかったことから、在職実態に疑義が持たれて、不許可となった。その後、2回申請するも不許可となって、特定活動(出国準備)となって、当所に相談越された。

既に複数回の再申請を行っていたことと、退職した料理店からは提出できる立証資料がなかったため、在留資格認定証明書交付申請を行って、在留資格認定証明書の交付を受ける。

CASE
2

子の在留資格「家族滞在」の認定申請

本国から子供を呼び寄せるため、在留資格「家族滞在」の在留資格認定証明書交付申請を自身で2回行うも「扶養者の生計が充分ではない、子の出生証明書の信憑性に疑義が持たれ、不許可となり、その後、行政書士に依頼して更に2回の申請を行ったがいずれも不許可となり、当所に相談に来られた。

当所で入管へ往訪して、直接、不交付理由を詳細に確認した後、扶養者、子の出生証明書、旅券を精査し、問題点を整理して申請理由書等を完備して再申請に至り、在留資格認定証明書の交付を受ける。

CASE
3

在留資格「日本人の配偶者等」から「定住者」への変更

日本人と結婚をして、在留資格「日本人の配偶者等」で在留して、実態の伴う婚姻生活を送っていたが、数年経過して、夫との意見の相違、性格の不一致などから協議離婚に至った。自身で在留資格「定住者」への変更申請に至ったが、「在留を認めるに足りる理由はない」として不許可となって、当所に相談越された。

当所で日本人との交際、婚姻から離婚に至るまでの詳細な経緯等を整理して、再申請に至って、許可処分を得る。

CASE
4

在留資格「経営管理」認定申請

日本で二人代表による会社経営を行うため、行政書士に依頼して、在留資格「経営管理」の在留資格認定証明書交付申請を行ったところ、「相当額の投資がなされたとは認められない、会社事務所について独立した事務所と認められない、二人代表を認めるに足りる役割分担等があるとは認められない」とのことで不交付処分が付された。その後、在留資格「経営管理」を取得するのが困難と言われたことから、「企業内転勤」の在留資格認定証明書交付申請を行って、許可を得て、7年程度が経過して、従業員のビザのことで弊所に相談越された。

当法人に相談に来られた際に過去の不許可処分歴を当所が把握した。詳細な経営事情を聞いたところ、実質、上記の相談者が経営管理業務を行っていることから、本来、在留資格「経営管理」を取得したかったものであるから、当所で過去の資料を全て収集、整理して、在留資格「経営管理」への変更申請を行って難なく許可を得た。

CASE
5

査証申請の結果、発行拒否とされてしまった場合

査証申請の結果、発給拒否とされた場合に、具体的な発給拒否の理由は一切開示されないものとなっておりますので確認する方途はありません。よって、申請した申請書類、添付資料等を精査して、発給拒否とされた理由を推測するしかありませんが当法人に持ち込まれた相談の中には、申請書類等を検分いたしますとおおよそ問題点が推測できることがよくあります。なお、発給拒否とされたということは「ビザの原則的発給基準」を満たしていないということになります。観光や親族訪問などの短期滞在の査証申請で発給拒否となることは珍しくありません。

ビザの原則的発給基準

  1. 申請人が有効な旅券を所持しており、本国への帰国又は在留国への再入国の権利・資格が確保されていること。
  2. 申請に係る提出書類が適正なものであること。
  3. 申請人が日本において行おうとする活動又は申請人の身分若しくは地位及び在留期間が、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)に定める在留資格及び在留期間に適合すること。
  4. 申請人が入管法第5条第1項各号のいずれにも該当しないこと。(所謂、上陸拒否対象者)

上記の中で多く散見されるのは、入国目的や滞在予定が真の入国目的とは異なるものであると疑義が持たれたり、提出資料が虚偽、偽造したものであったりというものであります。在留資格認定証明書が交付されている方でも必ず、査証申請が許可されるものではありません。

再申請を行う場合の留意点
発給拒否となった場合、原則として、拒否後6か月以内に同一の目的でビザ申請をした場合は受理されないものとなっております。その理由は、発給拒否とした後、間もなく同じ内容の申請を受け付けたとしても、事情が変わっていない以上は、また発給拒否の結果になることは明らかであり,6か月程度は経過しないとビザ申請に係る状況は改善されないと当局が考えているからです。ただし、人道的理由からどうしても日本へ渡航する必要が生じた場合には申請を受理する場合もありますので、その様な場合は事前に申請予定の在外公館(日本大使館・領事館)に相談することとなります。