2024年3月31日より施行された入管法令の改正により、デジタルノマドの在留資格が新たに創設され申請受付が開始されました。

当所では早速、2024年4月に東京入管で在留資格認定証明書交付申請を行い、第1号となる申請案件として受理していただきました。

最大6か月間の滞在が可能とし、配偶者と子の帯同も可能となりました。デジタルノマドを巡っては、欧州のほか、タイやマレーシアなどでビザが創設され、自国に誘致する動きが世界で急増しており、日本政府もデジタルノマドを誘致することで閣議決定がなされました。

以上から、出入国管理及び難民認定法に定める特定活動の法務省告示改正(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件)等がなされ、本在留資格の運用開始に至ったものとなります。

デジタルノマドとは

デジタルノマド(Digital Nomad)は、リモートワーカーのことで、場所にとらわれずに仕事をするために、主にデジタル技術を活用して生活をする人々のことを指します。

彼らは主にモバイルデバイスやインターネット接続を利用し、仕事を遠隔地から行うことができます。

このライフスタイルを選ぶ人々は、自分の好きな場所で仕事をすることができるため、旅行と仕事を組み合わせたライフスタイルを楽しむことができます。

職業例

フリーランスライター 、ジャーナリスト、グラフィックデザイナー、ウェブデザイナー、プログラマー、デジタルマーケター、コンサルタント、ITエンジニア、作家、オンライン語学講師、デジタルデザイナー、オンライン秘書、外国で事業経営を行う個人事業主等

許可要件

  • ITを活用したリモートワーカーであること(外国企業等に所属又はフリーランス)
  • 査証免除国かつ租税条約締結国・地域の国籍であること
  • 申請の時点で年収1000万円以上あること
  • 日本での滞在予定期間について死亡し、負傷し、又は疾病に罹患した場合における民間医療保険に加入していること

対象となる49の国・地域

対象となる国・地域については、デジタルノマドとその配偶者・子では異なっておりますので留意ください。
・デジタルノマド:49の対象国・地域
・デジタルノマドが扶養している配偶者・子:70の対象国・地域

デジタルノマド対象国・地域一覧

在留資格、在留期間等

デジタルノマドに付与される在留資格は「特定活動(告示53号)、在留期間6月」となり、配偶者と子については「特定活動(告示54号)、在留期間6月」となります。最大でも6カ月しか滞在できないものとなります。なお、本在留資格は入管法令上、中長期在留者に当たらない者とされておりますので、在留カードは交付されないものとなっております。

諸外国のデジタルノマドビザは6か月より長い在留期間としている国もあり、また大半が期間更新を可能としていますが日本では期間更新は出来ないものとなりましたが、出国してから、6カ月が経過すれば再度、デジタルノマドの在留資格を取得して、日本に滞在することは可能となりました。

入管当局より申請回数に特段、制限はないとのことでありますので繰り返してビザを取得することは可能ということになります。

また、デジタルノマドの在留資格を取得して日本で滞在する中で他の在留資格(原則、短期滞在を除く)に変更したい事情が生じた場合は在留資格の変更申請をすることも可能です。例えば、日本でデジタルノマドとして活動中に、新たに日本の企業との請負契約又は雇用契約の締結に至ったことから、在留資格を技術・人文知識・国際業務へ変更するなどです。また、滞在中に一時的に出国をして再入国をすることも可能です。

申請方法

事前に必要書類を揃えて、日本へ短期来日し、宿泊場所の住所地を管轄する出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行うものとなります。

申請の結果、許可されると在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility)が交付されることとなりますので、短期来日して、滞在している間に在留資格認定証明書を受け取って、そのまま帰国せずに、デジタルノマドビザに変更して、日本での滞在を続けたい場合には、短期来日後、速やかに在留資格認定交付申請をする必要があります。

審査期間は早期に処理してほしいところですが、東京入管の場合は大変、混雑しており、他の在留資格の場合は一般的には数ヶ月を要しておりますので、当面の間は数ヶ月を要するかもしれません。なお、滞在中に在留資格認定証明書が交付された場合は、帰国せずに在留資格変更許可申請を行うことが出来ます。審査が終了したら、パスポートにビザが貼付されて、日本でデジタルノマドの在留資格で滞在することが可能となります。この申請は当所の行政書士が申請から結果受取まで全て代行することが可能となっております。

また、もう一つの申請方法としては、外国人の本国の住居地管轄の在外公館(日本国大使館又は総領事館)で申請を行うことも可能となっておりますが、前述の在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility)を所持している場合には、日本国大使館又は総領事館において標準処理期間内(原則申請受理の翌日から起算して5業務日)でのビザの発給が受けやすいとされています。

必要書類(出入国在留管理局で申請する場合)

  1. 在留資格認定証明書交付申請書 1通
  2. 証明写真(4×3㎝) 1葉
  3. パスポートの写し
  4. 返信用封筒 1通
  5. 申請人の滞在中の活動予定を説明する資料
  6. 年収額を証明する資料として申請人が就労した国等において発行された納税証明書又は所得証明書
    ※ 納税証明書等の提出ができない場合は、提出することができない理由を文書で説明の上、外国の法令に準拠して設立された法人等の雇用契約書、取引先との契約書(契約金額が明記されているもの)、年収に係る入金記録が分かる申請人名義の銀行等の預貯金口座の資料(預貯金通帳等の写し)
    ※ Web通帳の画面の写し等(取引履歴が分かるもの)であっても差し支えありません。
    ただし、加工等できない状態で印刷されたものに限ります(Excelファイル等は不可)。
  7. 民間医療保険の加入証書及び約款の写し(適宜)
    ※ 日本の滞在予定期間に応じた保険期間となっており、また補償内容に本邦在留中の死亡、負傷、疾病に罹患した場合が含まれているものを提出してください。
    ※ 傷害疾病への治療費用補償額は1,000万円以上。
    ※ クレジットカードに付帯する保険で当該補償内容を担保できる場合は当該補償内容等を証明する資料等を提出してください。
  8. 結婚証明書 1通(配偶者が帯同する場合)
  9. 出生証明書等 1通(子が帯同する場合)

以上、当所ではデジタルノマドの方々が日本で快適に過ごすことができるよう早期ビザの取得に向けて処理しております。

今後の課題

当法人では実際に申請をした案件や、デジタルノマドビザについて受けた相談によると、全員の方がこれまでに日本で旅行もしたが安全で生活しやすい、観光も良いなどの理由から長期の滞在を希望しており、6ヶ月までしか滞在が出来ないことを消極的な事情と感じているようです。

日本政府においても、デジタルノマドを積極誘致することで早期に閣議決定されましたことと、法務大臣においては「色々な情報をそこで集積することによって、また改善点を作り出していきたい。観光で来られるだけでもないので、イノベーションにつながるような国内のスタートアップの成長とか、経済政策あるいは産業政策全般にもこれは関わってくると思いますので、しっかりとこれを契機に、法務省としてもこの問題にフォーカスして、問題意識を持って対応していくことができればというふうに思います。」との見解を発出されていますので、査証免除国の年収の高いデジタルノマドを積極誘致としてスタートアップ、経済、産業の成長を期待するとなると、やはり、諸外国並みに更新を可能とするなど長期的な在留を希求する声が高まってくるのではないでしょうか。

また、住居の問題もあるようで、在留カードが発行されないことと、6ケ月の在留期間では、長期賃貸には中途半端な期間で契約も困難で、ホテル滞在をするにはコストが大きいとのことです。始まったばかりのデジタルノマドビザにつて今後の動向を見守りたいと思います。

以上、当法人では既に何件かの申請を行っており、メディアからの取材記事も配信されておりますのでご参考いただけば幸甚です。お困りの際は、ご遠慮なく御相談ください。