本国の老親を日本に呼び寄せて一緒に生活するためのビザの取得方法について解説いたします。

老親扶養ビザとは?

老親扶養ビザとは、日本に在住している外国人が母国にいる高齢の親を日本に呼び寄せ、扶養する必要がある場合に特例的に付与される在留資格を指します。この在留資格は通称「老親扶養ビザ」と呼ばれます。

通常、このビザは、親の健康状態や経済的事情などにより、母国での一人暮らしが困難な場合に申請されます。親が短期訪問ビザで日本に入国した後、日本の出入国在留管理局で申請手続きを行うことが可能です。

ただし、現行の法令には老親と同居して扶養することを目的としたビザは存在していないことから、老親扶養ビザは特例的な措置として取扱われているものです。そのため、取得の難易度が非常に高く、慎重かつ入念な準備が求められます。

ビザの許可要件

老親扶養ビザを取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 扶養関係の証明:扶養者と老親の関係を証明する公式書類(出生証明書、家族関係証明書など)の提出が必要です。
  2. 扶養者の経済力:扶養者が老親の生活費や医療費を十分に負担できる経済力を有していることを、収入証明書や納税証明書で証明する必要があります。
  3. 老親の健康状態:老親が健康上の理由で母国での生活が困難であることを、医療診断書や医師の診断書で証明する必要があります。
  4. 老親の家族構成:本国に老親の配偶者や扶養義務を果たせる子がいないことが、特例的な許可を得るための重要な要素となります。

これらの要件を満たしていても、申請理由書の内容や提出資料の不備により、不許可となるケースが多く見られます。そのため、専門家のサポートを受けることが重要です。

よくある誤った申請理由

以下のような理由だけでは不十分であり、許可を得ることは困難です:

  • 「高齢であるから」
  • 「病気があるから」
  • 「一緒に同居したいから」

老親扶養ビザの審査基準は公開されておらず、その方針は社会情勢や国際情勢、社会問題によって変化することがあります。そのため、実際の許可事例に基づいて申請を準備する必要があります。

申請手続きの流れ

老親扶養ビザの申請は、一般的な在留資格認定証明書交付申請とは異なり、特別な手順が必要です。

1. 老親を短期滞在ビザで日本に呼び寄せる
まず、老親が短期訪問で来日する必要があります。この時点では、老親は日本での長期滞在が許可されていない状態です。

2. 日本滞在中に在留資格変更許可申請を行う
老親が来日後、「特定活動」の在留資格を取得するために、在留資格変更許可申請を行います。この際、老親を扶養する必要性を示す特別な事情を十分に立証することが求められます。審査の結果、許可されるとそのまま日本で滞在を続けることが出来ます。

申請には、老親と扶養者の身分関係を証明する書類、老親の健康状態を証明する診断書、扶養者の職業や経済力を証明する書類など事情に合わせて十分な立証資料が必要となります。

ビザの申請書のイメージ

許可事例

当法人の最近の許可事例をご紹介いたします。

・永住者の老親のビザ(2024年2月19日許可)

Designation for Elderly Parent Visa 2024

・日本国籍を取得した外国人の老親のビザ(2023年7月25日許可)

Residence Card for Elderly Parent Visa
Designation for Elderly Parent Visa 2023

よくある質問(FAQ)

老親の年齢は関係がありますか?

過去には、老親の年齢が審査基準の一つとしていた時期もありました。しかし、現在の審査では、年齢だけで判断されることはありません。むしろ、親の健康状態や扶養を必要とする具体的な事情など、総合的な要素が考慮されます。

本国に老親の子がいる場合でも、老親はビザを取得できますか?

原則として、老親扶養ビザは子が親の面倒を見るために老親に付与されるビザで、本国に老親の子がいる場合には、申請が許可される可能性は低くなります。これは、親の扶養義務を負う子が本国で面倒を見ることが期待されるためです。

ただし、以下のような特別な事情がある場合には、ビザが認められる可能性があります:
• 本国にいる子が病気などで扶養ができない状況にある場合
• 経済的な理由や地理的な要因で、本国での扶養が困難な場合

老親扶養ビザは何年のビザですか?

老親を扶養するためのビザが許可されると、最初に1年の在留期間が付与されます。その後、事情が変わらない限り、1年ごとに更新を行うことで継続的に在留が認められます。ただし、更新される在留期間も毎回1年となります。

老親扶養ビザを取得した後、将来的に永住権を取得することはできますか?

残念ながら、老親扶養ビザでは永住権を取得することはできません。このビザは特例として、老親を扶養するために認められるものであり、永住を目的としたものではないためです。

私達のサポート内容

当法人では、数多くの許可実績を持つ専門行政書士が、申請者一人ひとりの状況に応じて丁寧にサポートを提供いたします。

1. 立証資料の準備

証明書類に不備や不足があると、立証が不十分として許可が下りない可能性があります。当法人では、必要な書類のリストアップ、取得方法の案内、さらに書類のチェックまで、資料準備を全面的にサポートいたします。

2. 老親の健康状況の証明

診断書は大変、重要です。医師による診断書が不十分であれば、許可が下りない可能性が高くなります。当法人では、適切な診断書の作成に必要な内容や記載方法について具体的なアドバイスを行い、効果的な立証資料として準備を支援いたします。

3. 経済力の証明

扶養者の収入が審査基準を満たしていない場合、許可は下りません。当法人では、収入証明書類の準備を徹底的にサポートし、不足のない証明資料を整えられるようお手伝いいたします。

4. 申請理由書の作成

申請理由書は、過去の許可事例を基に徹底的に分析し、許可を得るための重要な要素を的確に盛り込んで作成します。審査官に対し、「許可に値する」と納得してもらえるよう、事実関係に基づく説得力のある内容を構成します。


Why Choose Us?

経験豊富な確かな専門家に依頼することが成功への近道です。特にこのビザは専門家の経験が重要です。
短期来日する前に当法人へご相談くださ。最良の結果を目指し、全力でお手伝いいたします。

行政書士

ビザ申請が不許可となった場合の対処法

参考サイト
出入国在留管理庁
外務省